わたしの本当の王子様は、誰?
「それにね、これはお父さんお母さんが許してくれたらなんだけど・・・わたし、会いたいの」
「・・誰に?」
「桐生くんのお父さんに。わたしの、本当のお父さんに」
衝撃な事実を知らされてからまだ数時間しかたっていないのに。
当事者じゃない俺でさえ動揺して、まだ少し混乱してるのに。
もうそんなことまで考えているなんて驚いた。
「わたしね、お父さんもお母さんも大好き。今まで育ててくれて、本当に感謝しかない。でも、それでもやっぱり本当のお父さんに会ってみたい。本当のお母さんに挨拶したい。それって、わがままかな?」
「全然、わがままじゃないと思う。俺は、すごいと思うよ。その愛鳥の考え」
「ありがとう」
愛鳥が笑った姿をみて思う。
ああ、俺はもう愛鳥の王子様にはなれないなって。
もう、愛鳥にはふさわしい人にはなれないなって。
こんなにも綺麗なお姫様になったんだから。