わたしの本当の王子様は、誰?
海side
*
「海、いくらなんでもひどいぞ」
「いいんだよ。あいつには、なにも背負ってほしくないから」
「・・・どういうことだ?」
「あいつがこの家にきちゃったら、ばれるかもしれないだろ。あいつめっちゃ母さんに似てるし。もし変な噂がたったら、あいつが実はこの家の本当の娘だってばれたら、あいつが苦労する。それに今まで隠してきたことも公になるかもしれない。そんなの、この家にとってもあいつにとっても嬉しいことじゃないだろ」
「海・・お前、まさか」
「俺は覚悟してるよ。別に。今まで父さんのこと嫌いだって思ってたし、この家の子じゃないって知ってからだいぶ反抗もしたし。でも、もう覚悟した。俺は父さんの跡を継いで社長になる。だから、心配しないでいいよ」
あいつ、泣いてたな。
ばればれ。
でもこれでいい。
あいつは今まで通りの幸せをつかんでくれたらいい。
幼なじみの健人ってやつと、真美って子とただ笑ってくれてたら俺はそれでいい。