わたしの本当の王子様は、誰?


「俺はお前の父親だ。それは誰がなんていおうとかわらない。血の繋がりなんて関係ない。たったひとりの大事な息子だ」


涙がすーっと頬をつたったのがわかった。


嬉しかった。

ずっと自分には家族がいないって思ってた。

そう思い続けてきたのは、自分。

単なる逃げ。


子供のころはずっと一人で寂しくて、父さんが本当の父さんじゃないって知ってから、さらにそれは増した。


どうせ俺は一人だと。

俺には幸せな家庭とか、仲良しな家族とか、そういうのはいらないと。

そう言い聞かせて、自分を守ってきただけ。

そうしないと、もし父さんから突き放されたとき、お前なんていらないと言われたとき、立ち直れないと思ったから。



でも、違った。

そもそもそれが間違いだった。
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