わたしの本当の王子様は、誰?


「ほら、早く食べないと下から落ちるぞ」

いつもなら秒で食べ終わるくせに今日は持ったままいまだ驚いている。

それじゃせっかくのクレープが台無しだ。

ただでさえ今日は暑いっていうのに。



「おいしいよ、超おいしい」

「はは、よかった。やっと笑った」

「え?」

「暗い顔してんなよ。桐生のこと無理にいいたくないならいわなくていいよ。愛鳥にそんな顔させちゃうくらいなら、無理に聞かない」


さっきは問い詰めたりしてごめんとつぶやく。

愛鳥はその言葉に首を大きく振った。



愛鳥は優しい。

自分のことよりも他人を大事にする人。

食べ物には目がないからそういうときは例外だけど。

でも普段は自分のことなんてそっちのけ。


そんな愛鳥だから、俺は大事にしたいと思う。


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