もっと秘密なラヴシークレットルーム 日詠医師の溺愛ぶりは糖度高めで要注意?!
ただでさえ妊娠中は体調変化を来たしやすい状況なのに、そんな妊婦に大きなストレスをかけてしまう説明をしている
その説明して、それじゃ、頑張って一緒に治療しましょう
そう伝えてあげられない自分が残念で仕方がない
以前、妊娠中だった伶菜のお腹の中にいた祐希の心臓病が、胎児超音波検査で見つかった時に感じた時と同じような感覚・・・自分が何もしてあげられないもどかしさ
それを再び感じている
「そんな・・・日詠先生、なんでもできる、凄いお医者さんだって聞いてここに来たのに・・・だから安心してここに通っていたのに・・・」
水谷さんからそう言われると、尚更、そう思う
自分を必要としてくれていた人に応えてあげられない自分の残念さ
伶菜が祐希を妊娠していた時だってそうだった
それを俺はいつまで繰り返すんだろう
『自分を頼ってこちらの病院に通院して頂いていたのに申し訳ありません。その治療を専門的に行っている病院をご紹介します。ただ、この地方の医療機関での治療成績は正直まだ高くはありません。』
「じゃあ、どこに行けば・・・」
『大阪・・・でも遠い・・・ですよね?』
「大阪・・・主人の実家が京都なので・・・行けます。」
水谷さんは迷うことなく転院を選んだ
転院すれば間違いなく、彼女の生活は変わる
それなのに即答
彼女の、治療に対する前向きな姿勢がはっきりと伝わってくる
『わかりました。早速、紹介状を準備します。』
「日詠先生・・本当は自分の実家があるここ名古屋で治療して産みたかった。双子の出産、そして育児はひとりでは心細いので・・・」
『お力になることができず本当に申し訳ありません。』
双胎間輸血症候群に対する治療を受ける決心をしている水谷さんが望む、実家があるここ名古屋で治療させてあげられない
治療が長引けば、地元での出産が難しくなる
その現実も伶菜の時と同様だった
管理職や病院上層部ではない、一介の臨床産科医師にできることなんてたかが知れているとわかっているけれど
それでも、今、自分が置かれている状況が歯がゆくて仕方がない
けれども、そんな現状で唯一、今の自分ができることは、
胎児の身体に異常が見つかった水谷さんが最善の治療を受けることができるように最大限の支援をすること・・・転院先の紹介と転院先への医療情報提供書の作成を行うこと
それだけしかできない自分に溜息をついた。