もっと秘密なラヴシークレットルーム 日詠医師の溺愛ぶりは糖度高めで要注意?!
report6:Hiei's eye: 手ごわい女?は忘れてはいけない人
【report6:Hiei's eye: 手ごわい女?は忘れてはいけない人】
俺の産科外来に来た親子。
女子中学生とその母親らしき女性。
彼女達が看護師に促され椅子に腰かけたタイミングを見計らって、問診票に書かれていた子宮頸がんワクチン接種についての説明をしようとしていた。
しかし・・・
『せんせ~い!!!この前、先生の保健講話を聞いて、来ちゃいました!!!!』
ここの外来に来る女子中学生は、妊娠したかもしれないと困惑した顔で訪れることが多いのに、その人達とはちょっと異なるハイテンションで前のめりな女の子の言動。
後ろにいる母親らしき女性は笑いを堪えようとしているのか、下を向いたまま。
それらによって、もう少し彼女達のリアクションを窺ってから話をしようと考えた俺。
『新聞も見ました!!!!やっぱりカッコイイ!!!!先生、イケメン過ぎる!!!!ひゃ~日詠先生、スキです!!!!』
まさかの女子中学生真正面からのスキです告白。
ここがどこなのかわからなくなるような活気のある雰囲気に思わず絶句していた俺。
そんな中、聞こえてきた声。
「芽衣、あんた、なにしに来たのよ?」
「だから~、日詠先生に会いに来たの~。」
「ワクチン、どうするか?でしょ!」
「ママだって、新聞で日詠先生を見て、会いに来たんでしょ?」
「・・・だって、青二才男がどうなってるか、気になってって・・・あっ。」
いきなり俺のほうに視線を向けた母親らしき女性。
青二才男という言葉
凛とした空気を纏う視線
包容力という空気までも伝わってくる
それらは随分前に身に覚えのあるもの
『・・・澪さん・・・』
俺の中で、唯一、幸せになって欲しいと願い続けた素性も知らない女性。
その人が目の前にいる。
娘さんを連れて。