ハロウィンの夜に
「その前にお前の口を塞ぐが、いいか?」

「……っ!よくない」

“わかったから、手を離して”と言葉を続けた。

私が叫ばないことがわかったのか、男は離してくれた。


「いくつか聞きたいことがあるの。それと、その前にそのお菓子を返して。さっきの男の子にあげないといけないから」

右手を差し出す私に、“これが最後の一本だ”と言いながら、私の手にポッキーを置いた。


「……なんの冗談よ」

「だから最後だって。袋から開けて俺がさっき全部食べたが、なにか問題はあるか?」

「大ありよ!!これじゃあ、男の子にあげられないじゃない!」

怒りながら、ガシッと男の胸倉を掴んだ。
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