【短編】M e m o r y



優馬は、中2に進級したと同時に
親の仕事の都合で転校してしまった。


私は、泣いた。


泣いて泣いて、泣き続けた。



けれど。

伝えなかった。


『好きだ』ってことは言わなかった。



言えなかった。




今度、いつ会えるか。

いつ話せるか、わからないのに。



伝えなかったことに後悔した。

そして、また泣いた。



『優馬…っ…』


声を上げても

泣き崩れても


優馬は帰ってくるわけがなかった。





< 11 / 36 >

この作品をシェア

pagetop