【短編】M e m o r y




「今更、何? なんの用なの?」


話したい事なんてない。


数年前だったら山のようにあったのに。



時間は記憶を薄れさせるから…。

3年という時を経て、想いなんて綺麗さっぱり無くなったんだよ?


なのに、本当今更………なんて。



《え? 別に用があった訳じゃないんだけどさー》


けらけらと笑いながら言う優馬。

無いならかけてくるな、ばか。




…本当は嬉しいのかも、私。


だって。

自分で自分の事アルツハイマーとか言っておきながら、
優馬の事はっきり覚えてるんだもん。



初恋だったからかな。

余計に記憶が鮮明。


自然とにやけてしまうこの口が、私の気持ちを語ってる。



なんでなのかな。



こんなの私、まだ優馬の事大好きで忘れられない人みたいだよ?




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