【短編】M e m o r y
《嘘嘘、嘘だって! 用あるっ!あるから電話掛けたんだよっ》
携帯から声がして。
なんだ、用、あるのか。
そう思いながら、視線を机の上に移してみた。
開いていたアルバムを一冊一冊本棚にしまい、全部しまい終わったあとに電話に出た。
「あるなら早く言ってよ。私だって忙しいんだからさ? 高校1年生は多忙な日々を送るんですー」
もう結構話してるな、と思いながら一度耳から放して携帯のディスプレイを見る。
── …え!?
30分も話してる!
普段電話なんて全くしない、というより携帯自体全く使わない私は、
通話時間が30分を越えるなんてありえないことだった。
10分でも奇跡なのに。
返ってきた優馬の言葉は、実に不可解なもので。
《用あるって。美、今日が何の日か知ってる? てか、わかる?》
………今日?
。