【短編】M e m o r y
優馬からの応答はない。
「……? 優馬?おーい」
不思議に思って、呼びかけた。
それでも声は聞こえない。
暇になってしまった私は、ふいに机の上を見た。
電気スタンドの隣にミニサイズのカレンダーを見つけた。
あ、これ……一昨年のだ。
中1の時のカレンダー。
古いカレンダーが何でここに? 私、捨ててなかったっけ。
手にとって見てみる。
ぱらぱら、と一枚ずつめくっていく。
──…あ。
入学式に春の遠足、部活体験。
委員会決めに、席替え。夏休み。
長い休みが終わって…体育祭。
秋に入ると衣替え。校内音楽会。
色んな部活の試合。
懐かしいなぁ…。
そして……11月に入ったばかりの頃。
──…え?
《ごめんっ! トイレ行ってた!》
ハッと我に返ると、優馬の声。
「え? あ、そうなんだ」
あたふたしながら応える。
カレンダーに書いてあった文字に、びっくりして。
そんな私に気づかず、優馬は続ける。
《で。思い出した? 今日が何の日か》
。