【短編】M e m o r y




小さく触れるだけの優しいキス。


それだけで真っ赤になっちゃう私は、経験が足りなすぎるよね?


恥ずかしくて俯く。



今だから言っちゃうけど…。

さっきの私の、初キス、だったり。




「………好きなんだ、美が」



弱々しく、でもはっきりとした声が
聞こえた。



へえ、優馬って私のこと好きだったんだ…

……って、えぇ!?


ままま、まじですか!?



「う、そ…。ありえないよ、優馬?」


見上げた優馬の顔。

あまりにも真剣で、また顔が熱を帯びる。

つい…俯いてしまう。


ってか、優馬かっこ良くなかった?



また見たくなって、バッと顔を上げる。



「うおっ!? びっくりした…」


そう言ったのは、優馬。

私だって、びっくり…したよ?



見上げた優馬は、顔が真っ赤だったから。

耳まで赤くて。私なんかよりずっと真っ赤だよ。



もしかして…、

優馬、本気で言ってたの?




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