【短編】M e m o r y



そして、今日も。


『今日も暗くなっちゃったねー。あ、でも僕が家まで送るから、安心してね』



中1の男子って、普通ならまだまだガキなのに、周りに流されない真面目な所も好き。



…“好き”なんて。


頭の中で思うだけなら
たくさん好きって言えるけど、

実際私の口じゃ到底言えない。


だから、目で伝える。


=見つめる。なんだけど。


でも。

見つめてるうちに、私が恥ずかしくなっちゃうから、
きっと優馬とにらめっこなんてしたら、私すぐに倒れる気がするな。


『ありがとー。…怖くない?』

『…? なにが?』


自分で倒れるとか言っといて見つめてしまった瞳を、
やっぱり耐えきれなくて逸らしてしまった。


『だって優馬、怖いの苦手でしょ? 暗いから、お化けのこととか考えてるかなーって思って』



目を逸らしてしまったことに後悔して、恐る恐る顔を上げると、
今にも泣きそうな顔がそこにはあって。


男のくせに可愛いなー。



とか、思ったり。



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