【短編】M e m o r y
『美ちゃん……言わないでよ』
泣きそうな顔をしているのに、
ぷぅっと膨れた頬。
きゃっ……きゃわいぃ…。
優馬の、母性本能?を擽るような顔。
まさに童顔の神だよ!
『ごっ、ごめんごめん。
てか、怖いんだったら送ってくれなくて平気だよ? 私1人で帰れるし』
本当は一緒に帰りたいけど。
今にも零れ落ちそうな涙を目にいっぱいに溜めてる優馬を見ると、なんだか悪い気がしてくる。
悪者になった気分。
一緒に帰りたいけど、仕方ない。
優馬にじゃあね。とひとこと言って、
正門へと歩き出した。
数歩、ほんの数歩、歩いたところで後ろからか弱い声が耳に響いた。
『…………送る』
。