【短編】M e m o r y



え?と振り返ると、
強引に手を捕まれた。



『男だもん。美ちゃんくらい、送れなくてどうする!』


そう言った優馬は、なんだかとても
頼もしく見えて。



『美ちゃんくらい、って何よー!』

『えぇ!? そこ怒るとこ?泣』


弟のような犬のような
優馬のはずだった。……なのに。


急に“男”に見えて驚いた。




可愛くて大好きで。
かっこ良くて大好きで。

何もかも好きで、大好きで。


優馬が笑えば私も笑えて…

優馬が幸せなら私も幸せ、なんだ。



いつも通りに家まで送ってもらえたけど、

その日はいつもとは違う
色々な優馬が見れた気がして。



私はやっぱり優馬が好きなんだな。

ってことを再確認した。




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