羽を失くした天使 ～祐一の場合
栄太さんとあゆみさんを真似て。
俺と麻里絵も バイトが終わると 一緒に帰る。
俺の手を しっかり握って歩く 麻里絵が 愛おしくて。
俺より 一つ手前の駅で 降りる麻里絵を
俺は 毎日 アパートまで 送る。
「ありがとう。また明日ね。」
麻里絵の部屋の前で キスをして。
俺は 自分のアパートに 帰る。
夏休み中には ２人で何度も プールに行った。
普段は 触れることができない 麻里絵の素肌に
堂々と 触れることが 嬉しくて。
麻里絵は 恥ずかしそうに 俺を見つめていた。
俺が 我慢していることを 麻里絵は 知っていたから。
バイト代が 入った日 少し豪華な食事をして。
俺は 麻里絵に指輪を プレゼントした。
シルバーの ハワイアンジュエリー。
同じ物を 麻里絵は 俺に買う。
２人で 左の薬指に嵌めて。
笑顔で 麻里絵のアパートに送って。
その日に 俺達は 結ばれた。
付き合い始めて １カ月が経っていた。
