羽を失くした天使 ~祐一の場合
桜の季節になって。新入生が 入ってきて。
浮ついた季節だったけど。
俺と麻里絵は 相変わらず うまくいっていた。
同じバイトの 栄太さんとあゆみさんも
ずっと 付き合っていて。
麻里絵は 2人が 憧れだと よく言っていた。
「あゆみさんって 私と 1才しか 違わないのに。すごく 大人っぽくて。羨ましいなぁ。私なんて まだ 高校生に 間違われるんだもん。」
「いいんだよ。俺から見れば まりの方が ずっと綺麗だから。」
「ホント?」
「うん。」
俺の首に 腕を回して キスをする麻里絵。
「まりは?俺と栄太さん どっちが カッコいいと思う?」
「うーん。栄太さん。」
「コラー。」
「うそ うそ。祐一君の方が 絶対 カッコいいよ。目も大きいし。鼻も高いし。それに 唇は… キスも上手だし。」
そう言う麻里絵に 俺も キスをする。
麻里絵に 不満なんか 一つもなかった。