羽を失くした天使 ~祐一の場合
「祐一君 ありがとう。私 一生の思い出にする。祐一君。私 もう 死んでもいい。」
千佳は 初めてじゃなかった。
麻里絵とは 全く違う 熟れた反応に
俺は いつの間にか 夢中になっていた。
果てた後の 虚しさに 急に 我に帰る。
俺は とんでもないことを してしまった。
千佳は 麻里絵の友達なのに。
麻里絵に 合わせる顔がない。
頭を抱えて 後悔する俺を 千佳は 抱きしめる。
「大丈夫だよ。私 麻里絵に言わないから。ねっ。安心して。祐一君。」
安心できるわけがない。
千佳を 信じることなんて できない。
なによりも 俺自身が 無理だ。
何もなかった顔で
麻里絵と 付き合うことなんて もう できない。
自分が 犯した罪の深さに
俺は 絶望しか 感じなかった。