羽を失くした天使 ~祐一の場合

翌日は 何度か 麻里絵から ラインが入って。

東京に着いた頃 電話が鳴ったけれど。


俺は 麻里絵に 合わせる顔もなく。

返事を することが できなかった。


きっと 麻里絵は 不安に思っているだろう。

何も 知らないまま 俺を 心配している。


その夜も ウイスキーに酔って 千佳を抱き。


このままでは 済まないことに 怯えながら 眠った。


翌朝 俺は 開店前の バイト先に行き

バイトを辞めると 店長に告げた。


数日 体調不良で 休んでいたし。

憔悴した 俺の 青黒い顔を見て

店長に 親身な言葉をかけられ。

俺は 不覚にも 涙汲んでしまった。


もう 麻里絵とは 会えない。

ロッカーの中を 片付けて。

アパートに戻ると 俺は 麻里絵にラインを送った。


『別れよう』






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