羽を失くした天使 ~祐一の場合
素直で 思いやりがあって 意外と しっかり者で。
麻里絵は 遠くから 見ていた以上に 良い子だった。
温かい家庭で 家族に愛されて
育ったことが わかるような。
穏やかで 誠実な女の子だった。
花火大会の夜 初めてのキスをすると
麻里絵は 俺の腕の中で ブルブルと震えた。
「まり。寒いの?」
暑い夜なのに。俺の 間抜けな質問に
「違う。怖いの。」
と 俯いたまま 答える。
「ごめん。もうしないよ。」
「違うの。自分が怖いの。だって すごく嬉しいから。」
そんな麻里絵の反応は 俺を夢中にした。
麻里絵の 最初の彼氏になったことが 誇らしくて。