続・電話のあなたは存じておりません!
「私が来栖さんとお付き合いしてるのがそんなにおかしい?」

「別にそんな事は言ってねぇよ」

 和希は私の前へと立ちはだかり、私が中に入るのを阻んでいるように見えた。

「て言うか、結婚する和希には関係ないし。そこどいてよ?」

 スッと傍に避けた和希の横を通り過ぎた所で、グイッと腕を引かれてそのまま抱きしめられる。

「ちょ、やだっ! やめてよ、和希!」

「スゲー気に食わない、何でお前、或叶と付き合ってんだよ?」

「なに言って、」

「或叶が前に言ってた欲しかったものって、お前の事だったのかよ?」

 ーーは……?

「とにかく、離してよっ!」

 グッと彼の胸を押し返した時、フッと彼の吐息を耳元に感じて背筋に寒気が走る。

「やっ……、やぁッ!!」

 不意に首筋をキツく吸われて、チリ、と痛みが走る。

 両手でドンと思い切り押して、離れた和希がニヤッと笑った。

「じゃあな、朱音」

「……っ、」

 私は顔を歪めて、先ほど和希が吸い付いた箇所を手でゴシゴシと擦った。

「あ。そうそう、結婚して半年ぐらい経ったらまた遊んでやるよ。お前ベッドの中じゃ可愛いかったし」

「……なッ!?」
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