続・電話のあなたは存じておりません!
 憤慨する気持ちを止められなかったが、和希はそのまま踵を返して去って行く。

 ーーなんなの……?

 帰ってから、バスタブに湯を張り、冷静になった。

 多分、和希は……或叶さんに何かしらの妬みを抱いている。

 元々同級生だから、男同士の友情は有っても、裏にプライドとか妬み嫉みとか、そういう汚い感情も秘めているのかもしれない。

 だからと言って、和希が今さら私に構う理由が見当たらない。

 結婚を目前とした現在(いま)に、振った女に会いに来るなんて、アイツには何のメリットも無いはず……。

 湯船に体を沈めながらそんな事を考えていると、怒りで頭がのぼせてしまいそうだ。

 ーーやめよう、和希の事はもう考えない。

 お風呂から上がり、髪を乾かしている時それに気付いた。

 和希に付けられたキスマーク。

 赤紫色に鬱血したそれに、手を当てて私は酷く動揺した。

 ーーどうしよう、こんな目立つ所にこんなもの……。

 それでも時間が経てばマシになると思い、早めに寝る事にした。

 翌日。キスマークはちゃっかり消えずに残っていた。
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