続・電話のあなたは存じておりません!
 由佳はいつになく厳しい視線で私を睨んだ。

「プレゼントと一緒に勝負下着も買うんだよ?」

「え」

「誕生日の日に彼とセックスして、親密度もアップ。元カレとの事だって、サラッと水に流してくれるわよ」

「そ、そう言われても……」

 私は持ったままのグラスに口を付け、ぎこちなく笑った。

「私が思うにはさ、和希さんは朱音を都合よくそばに置いておきたいだけなんだよ。結婚しても時々会ってセックスできればいっかぁって。本当、サイッテーのクズだよッ」

「ちょ、ちょっと由佳。飲み過ぎ……」

 周りの目が気になり、頭を動かすが誰とも視線は合わなかった。みんなそれぞれの会話に夢中みたいで安堵する。

「とにかく! 朱音は或叶様との誕生日デートに向けて頑張るんだよ? それのみ!」

「う、うん……分かった」

 由佳にビシッと指を差されて、頷いた。

 起きた事は仕方が無いのだから、クヨクヨ悩むな、と。由佳は暗にそう告げていた。

 こういう時、友達の存在って有り難いなって思う。

 由佳に励まされて一旦は意欲を取り戻すのだが、しかしながら日曜日のデートの予定にもキャンセルが入った。
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