続・電話のあなたは存じておりません!
 金曜の夜、寝る前になって電話が鳴った。

 或叶さんは電話ごしに『ごめん』と謝り、『どうしても外せない仕事が有るから』と申し訳無さそうに言った。

 仕事だったら仕方ない。

 こういう時、「仕事と私、どっちが大事?」と聞く女性もいるが、そんなのはナンセンスだ。

 男の人にとって、仕事は人生そのもの。ましてや彼は親の会社を引き継ぐために今のポストに就いているのだから、色々と立ち回る事が多いのだろう。

 私は聞き分けよく、「分かりました、頑張って下さいね」と言って電話を切った。

 さて、予定の空いた日曜日は何をしようか?

 私はベッドに寝転びながら、ぼうっと天井を見つめた。

 ーーどうせだから、或叶さんのプレゼントでも買いに行こうか?

 由佳に言われた通り、下着も買って、二十日の誕生日に供える……。

「うん、悪くない計画だ」

 或叶さんの事を考え、やっぱり、でも、と思ってしまう。

 彼が喜ぶ物をあげたい。彼の事をもっとよく知りたい。

 私は頭を悩ませ、考えた。

 仕事が有る日はいつも決まってスーツだし、休日も仕事の合間で会う日が続いていたからほぼスーツだ。
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