続・電話のあなたは存じておりません!
 私のよく知っている柔らかな笑みで、綺麗な女性と向かい合わせに座り、会話している。

「……っ、は、」

 不意に呼吸が荒くなるのを感じた。ドクンドクンと脈拍が乱れ、私は唇を震わせた。

 彼へのプレゼントをグッと握り締めたまま、ゆっくりと後退り、そのまま踵を返した。

 ーーうそ、うそっ!!

 人で混み合った通路をただひたすらに走りながら、鼻の奥がツンと痛くなるのを感じた。

 視界が滲み、あっという間に涙が頬を伝う。

 ーーうそっ、だって、今日は仕事だって……!

 ショッピングモールを出てすぐの壁に体を凭れさせ、手で心臓をグッと押さえた。

 荒い呼吸がなかなか治らない。顎から滴る涙が地面に丸いシミを数個作った。

「なんで……? 或叶さん…っ」

 いきなりの衝撃が、私をまた、どん底へと叩き落とした。


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