続・電話のあなたは存じておりません!
After That.3.
あの後どんな帰路を辿って自室に着いたのか覚えていない。
気付いた時にはベッドに体を埋めていた。
うつ伏せのまま微動だにできず、次第に暗くなる部屋で涙に暮れていた。
しかしながら、思考だけは忙しなく、ぐるぐると何度も同じ仮定をくり返した。
二股……されているのだろうか?
ーーいや、でも。考えたくないっ、或叶さんに限ってそんなことっ!
あの人が和希と同じ事をするはずがない。何の根拠も無かったが、私はそう願った。
それじゃあ、見限られた?
多分それが一番しっくりくると思う。
木曜日の夜に或叶さんと会って、その直後に付けられた和希のキスマーク。
今ではようやく薄れ始めて、ファンデで隠せる程度になったけど。
アレを見たから彼は私という彼女に嫌気がさしたのかもしれない。
現にその日のデートも、今日のデートもキャンセルされている。
或叶さんは……自分という彼氏がいながら私が他の人と"そういう事"をしていると考えて、既に別れの準備をしているのかもしれない。
そう考えると、心臓が張り裂けそうな痛みに襲われた。
ーー嫌だ、嫌だよ、絶対……っ。