続・電話のあなたは存じておりません!
Ending.
結論として、或叶さんは浮気なんてしていなかった。
それどころか、私の知らないところで尽力して、私を庇ってくれていた。
昔、ネットの事であったように、私を助けてくれていた。
一瞬でも、或叶さんを疑った自分に嫌気がさす。
彼だけはそんな事はしないって願っていながらも、胸中は不安と猜疑心でいっぱいだった。
助けてくれた相手を疑っていたなんて、恥知らずもいいところだ。
二階のカフェから戻り、再び受付に座ると、由佳と沙奈江に「大丈夫だった?」と心配された。
私は眉を垂れて頷き、それでも仕事中に話せる内容でもないので、帰る間際、ロッカールームで着替えている時に瑞穂さんとの一部始終を話した。
二人は顔を歪めて「ゲ、」と言い、「朱音あぶなかったね?」と心底安堵していた。
確かにあぶなかった。
既に別れた元カレの事で訴えられた挙句に、仕事まで失うなんて事になったら、落ち込みようは半端ないだろう。
でも、瑞穂さんの気持ちも少なからず理解はできる。
自分の愛する彼氏が、裏で浮気しているなんて知ったらとても正気ではいられない。
更には愛情と紙一重の憎悪は相手の女性にまで向かってしまう。