続・電話のあなたは存じておりません!
それでは、とまた他人行儀に会釈して、踵を返した。
「え。フリーじゃないって、おい! 朱音っ」
背後で馴れ馴れしく呼び止められるが、そのまま無視をした。
和希はいつまでも、私を甘く見ている。
付き合っていた時から、自分より下だと思っている節があった。けどあの時はそれで良かった。
彼は私より五つ年上だし、エリートで仕事も出来るから、そんな彼を尊敬すらしていた。
でも今の私はそうじゃない。たとえ仕事が出来たとしても、女を見下す和希はちっとも魅力的なんかじゃない。
*
「……あっ、この曲」
或叶さんのカーオーディオから流れてくる前奏を聴いて、私は頬を緩ませた。
「Dead By Sunrise のInto You、だっけ?」
「そうです、よく覚えてますね?」
運転席でハンドルを握る彼を見つめて、私は目を細めた。彼は「そりゃあね」と言って笑う。
「芹澤さんの好きな曲だから」
チラリと投げ掛けられた視線に、心臓の奥がトクンと音を立てる。
或叶さんは私をいつだって尊重してくれる、私の趣味嗜好を知りたがる。そんな彼にどうしようもなく惹かれてしまう。
「え。フリーじゃないって、おい! 朱音っ」
背後で馴れ馴れしく呼び止められるが、そのまま無視をした。
和希はいつまでも、私を甘く見ている。
付き合っていた時から、自分より下だと思っている節があった。けどあの時はそれで良かった。
彼は私より五つ年上だし、エリートで仕事も出来るから、そんな彼を尊敬すらしていた。
でも今の私はそうじゃない。たとえ仕事が出来たとしても、女を見下す和希はちっとも魅力的なんかじゃない。
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「……あっ、この曲」
或叶さんのカーオーディオから流れてくる前奏を聴いて、私は頬を緩ませた。
「Dead By Sunrise のInto You、だっけ?」
「そうです、よく覚えてますね?」
運転席でハンドルを握る彼を見つめて、私は目を細めた。彼は「そりゃあね」と言って笑う。
「芹澤さんの好きな曲だから」
チラリと投げ掛けられた視線に、心臓の奥がトクンと音を立てる。
或叶さんは私をいつだって尊重してくれる、私の趣味嗜好を知りたがる。そんな彼にどうしようもなく惹かれてしまう。