じれったい恋愛…~運命の人に気づくまで~
後ろから聞こえる自転車のタイヤが回る音。
ギアの付いた自転車からは小さな゛カチカチ゛という音が聞こえる。
先輩の自転車もこんな音がしてたなぁ…。
そう思った瞬間。
『そんなに急いでどうしたの?』
後ろから聞こえていた自転車の主は、まさかの水谷先輩だった。
(恥ずかしい!必死になってすごい早さで自転車をこいでたの、見られた?)
『あ、水谷先輩!
お久しぶりです!』
『本当に久しぶりだね。
休みの間も元気だった?』
『はい!先輩もお元気でしたか?』
『うん!おかげさまで』
『ところで、そんなに急いで、何かあるの?』
『い、いえ…』
(まさか先輩にこんなに早く、しかも見つめるだけじゃなく、朝から一緒に登校できるなんて思ってなかった。まさか、先輩を一目でも早く見たくて急いでた、なんてとても言えない…)