じれったい恋愛…~運命の人に気づくまで~
電車で約20分ほど行ったところにある、映画館。
電車内では席の空きがなく、隆君は私と一緒にドア付近に立つことになった。
大きく揺れる度に、フラつく私を支えようとしてくれる隆君。
優しさが伝わってくる。
でも、これって私を好きだから、だよね?
ただの友達にはこんな風にしないんだろうな、と思ってしまう。
バッグを持つ私に、
『重そうだね。バッグ、僕が持とうか?』
なんて聞いてくる。
全然、重くなんてない。
もちろん、断った。
そうして、目的の駅で降り映画館へと歩いて向かう。
映画なんて、久しぶりだ。
チケットを買い、中に入った。
中に入る前に飲み物とポップコーンを買う。
後ろの方の座席に座った。
映画が始まり、暗くなりスクリーンに映像が映し出される。
暗くなり、少したった頃、暗闇で私の手に何かが触れた。
『きゃっ!』
思わず驚きのあまり、小さく声が出てしまった。
触れたのは隆君の手だった。
『手を握るくらいはいいでしょ?』
『えっ?いや、やめて』
自分の手をそっと抜いて自分の両手をギュッと握る。
『ダメ?』
頷く私に『ごめん』という隆君。
ビックリした。油断もできない。