一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
開口一番、実花子が千沙に尋ねる。
率直な質問のつもりだったが、千沙は実花子が嫉妬で聞いたものだと思ったらしい。大きな瞳をくりくりと動かしてニコニコ笑った。
「椎名社長の秘書だって」
「そうなんだ」
「なんかね、しばらくうちの会社に居候するみたいよ」
居候というのはちょっとおかしな表現かもしれない。親会社のトップなのだから。
傘下に入ったため、詰める話もあるだろう。
「短期間だから、あそこを使うんだって」
先ほどから拓海と秘書、そして岡野が忙しなく出入りしているのは、いつもミーティングで使用している部屋だった。
チラッと見えたその中には、社長が使用するにふさわしい機能的かつデザイン性の高いデスクと椅子や応接セットがあった。ガラス張りになっているフロアとの壁には、わざわざブラインドまで設置されている。岡野の指示なのか、短期間の滞在とは思えない厚待遇だ。
「あの秘書、綺麗な人だねー、実花子ちゃん」
千沙が含ませたように言ったため、つい軽く睨む。これでは千沙からしたら、実花子が本当に妬いているみたいだ。
秘書が美人でも実花子には全然関係ない。それをわかってもらうには、この場での釈明は不適切だろう
「お昼は下のカフェね」
千沙との話し合いの場を設けた。