一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


「座って」


拓海に言われ、真新しい黒いソファに腰を下ろす。短期的に置かれたものとは思えない座り心地が安物ではないと思われた。


「この前はごちそうさまでした。おいしかったです」


フレンチのお礼がまだだったのだ。


「気に入ってくれてよかったよ。また行こう」


それにはうなずかず、「祐介もとても喜んでいました」と加えた。

お土産のカレーを持ち帰ると、ちょうど小腹が空いたらしく祐介は早速食べはじめた。こんなカレーははじめてだと、いつもより速いスピードで彼の口の中へカレーが吸い込まれていく様はある種壮観だった。

そんなに絶品なら少し食べてみたいと思ったときには皿は空っぽ。そして、「椎名さんっていい人だね」と、すっかり食べ物につられてしまった。
最初こそ拓海に対して敵を見るような目つきだったのに、さすがはおいしいものに弱い実花子の弟である。血は争えない。


「会社を買収したあとは、いつもこうしてその会社に部屋を構えるんですか?」
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