一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
もしも実花子が千沙の立場でも、多分同じことを言っただろう。そう声を掛ける以外にはないだろうから。
千沙にトントンと優しく背中をさすられていると、ポケットに入れていたスマートフォンの振動に気づく。慌てて取り出したその画面に白鳥の名前が表示されていて、弾かれたように応答をタッチした。
『実花子ちゃん、ごめんよ。ちょっと取り込んでて』
「拓海さんのこと、なにかご存じじゃないですか?」
『ニュースを見たんだね』
「はい」
鼻を啜りながら答える。
『……実花子ちゃん、泣いてる?』
「あ、いえ……」
涙声が伝わったらしい。
『今からパシフィックブルーホテルにこられるかい?』
この前、拓海とふたりでフレンチを食べたホテルだ。