一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「実花子の嫉妬は別物だとわかったんだ」
「……なんですかそれ」
「自分でもわからない。けど、嫌だったはずのものがうれしかった」
拓海が屈託のない笑みをたたえる。
「拓海さんは今まで誰彼構わず、ああして抱き寄せたりしてきたんですか?」
「そうだね」
悪びれる様子は皆無。逆にこちらの感覚がおかしいのではないかと疑いたくなる。
「それじゃ、キスもですか?」
「たまにはそんなこともあった」
眩暈がしてきた。拓海は、その人数もきっと把握していないに違いない。
「……菊池さんとは?」
核心部分に迫る。実花子を婚約者だと紹介したとき、彼女がうろたえたのはそういう理由があったからなのではと思ったのだ。緊張に鼓動が加速していく。