一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
ジェラシーはほどほどに
私生活で心が満たされると、仕事にいい影響を与えるというのを実花子は二十八歳になってはじめて知った。
これまでの生活に満足していなかったわけではないが、そこに恋が加わると、こんなにも張りがでるものだとは知らなかった。
拓海と正式な恋人同士になって二週間が経過。
勤怠管理を担当している実花子が、一ヶ月のうちで一番忙しい月はじめ。いつものとおりの手順なのに、やけに処理スピードが速まり周りの人も驚いている。
ブラインドが下げられていない限り実花子のデスクからも拓海の様子が見えるため、俄然やる気が沸く。ガラス越しにたまに目が合って、こっそり微笑み合うこともしばしば。これぞオフィスラブの醍醐味というものにすっかり浸りきっている。自分がこんなにも単純だとは思わなかった。
「実花子ちゃん、本当に変わったよね」
階下のカフェで一緒にランチをとっていた千沙が、実花子を見てつくづく呟く。
「大学時代に彼氏がいたときとは全然レベルが違う感じ。あの頃は、高校生のときの実花子ちゃんとそんなに変わった印象なかったもん」
「……私、変?」