一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「ぜんっぜん! その逆だよ。もちろん、今までの実花子ちゃんも好きだよ。力仕事ならお任せとか、頼りがいがあって。今は滲み出るオーラから違う。キラキラしてるもん」
「そうかな」
「うん。恋の力ってすごいなぁって、実花子ちゃん見て改めて思った」
スカートも五センチのパンプスも、このところやっと履き慣れた感じがする。きっちりまとめていた髪の毛の一本縛りも、千沙の指導で緩いまとめ髪ができるようになった。
最初は拓海に嫌われるためだけに女らしい格好をしていたつもりが、今はそれと真逆だ。拓海にかわいいと言われたくて、外見にも気を使っている。
相手の男次第で自分が変わるなんて、ちょっとブレ過ぎではないかと心配な部分がないわけでもない。
でも、それが苦痛ではない。
千沙の言うとおり。本当に変わったと自分でも思う。
「私も早く彼氏ほしいなー」
「千沙はその気になれば、いくらだって相手が見つかるじゃない」
ついこの間だって、通勤時に千沙にひとめ惚れをしたという人に告白されたと言っていたばかり。社内で千沙に言い寄る男の人は、十本の指では足らないくらいだ。