一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

着替えを済ませて少し離れたところで実花子が耳を傾けていると、ところどころに〝パクリ〟という言葉が飛び交う。賠償だとか、契約だとかいう言葉も聞こえた。

実花子にはチンプンカンプンなふたりの会話だった。顔を突き合せて真剣に話し合うふたりと実花子の間には、見えない壁が存在しているようにも思えた。

拓海には、彼女のように仕事面でもバックアップできる女性のほうがいいのかも。なにもわからない自分は不つり合いではないか。
そんな余計なことを考えてしまう。

トラブルだと知り、力になりたいと思うもののどうにかできるものでもなく、ひとり蚊帳の外に甘んじるしかないのがやけにつらかった。


早く終わるからと言っていたはずの話し合いは、一時間、二時間と過ぎていった。

拓海がトイレに立ったタイミングで声を掛けると、ベッドルームで待ってほしいと言われ、実花子は完全にひとりになる。
ベッドの上で膝を抱え、ドア越しに微かに耳に届くふたりの声を聞いているうちに睡魔が押し寄せてくる。寝不足のため重くなっていく瞼を閉じると、引き込まれるように眠りについた。
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