一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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瞼に感じた明かりに目を開ける。それがカーテンの隙間から射し込む光だと気づくと同時に、ここが拓海の部屋だと思い出した。
リビングへ行ってみると、実花子が淹れたコーヒーが残されたまま、ふたりの姿はなかった。その代わり、テーブルには拓海が書いたものらしきメモがあった。
『白鳥さんのところへ行ってくる。なるべく早く帰るから、そのまま待ってて』
トラブルが解決しなかったのだろうか。真里亜も一緒なのか。わからないことづくしだ。
拓海に電話を掛けたい衝動をなんとか抑え込み、代わりに祐介に電話をしてみた。
『なんだよ、ねえちゃん』
第一声でそれはないだろう。せめて〝どうかした?〟といったひと言くらいほしいものだ。
「頑張ってる?」
『あたり前だろ? 椎名さんと一緒じゃないのかよ』
せっかく姉の世話を押しつけたのに、とでも言いたそうな口ぶりだ。今回こそは実花子からの電話から逃れられると思っていたか。