一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「一緒だよ」
『なら電話してる場合じゃないだろ』
「かわいい弟の声が聞きたくなったらダメなの?」
『はいはい』
適当に流された。
『これから走り込みがあるから切るよ』
やはり鬱陶しかったらしい。ものの数十秒で切られてしまった。
これでまた〝寂しがり屋〟の称号は継承確定だ。
拓海さん、お昼ご飯食べたかな。なにか用意しておいたほうがいいかな。
そう思って、勝手に冷蔵庫を開けてみたものの食材らしきものはゼロ。これでは買い出しが必要だ。
身支度をして玄関で靴を履いていると目の前でドアが開き、心臓が飛び上がるほど驚いた。
それは拓海も同じだったようで、実花子を見て目を丸くした。
「おかえりなさい」
「もしかして帰ろうとしてた?」
靴を履いた実花子を見て拓海が訝る。