一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
黒い影にさらわれた夜
「いつもの冷酒とカワとつくねをお願いします」
「了解!」
威勢のいい店主の声が響くと同時に店のドアが開いた。
「おや、実花子ちゃんも今日は随分と早いね」
白鳥だった。
まだ陽も沈んでいない午後四時。実花子は、いつもの一休へ足を運んでいた。
白鳥も拓海と一緒だったからか、顔に疲れが滲んでいる。それでもここへ来て一杯やるのだから、白鳥もまだまだ若い。
「拓海くんと一緒じゃなかったのかい?」
「あ……はい」
白鳥はおしぼりで顔を拭い、いつもの調子で焼酎と焼き鳥を適当に注文した。
ふたり同時に出されたお酒と焼き鳥で軽く乾杯。今朝からなにも食べていなかったからか、日本酒の最初の一口が胃袋に染みた。それでもひと思いにグラスを空ける。
「飛ばし過ぎじゃないか?」