一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
とうとう舌まで回らなくなる。
「私がわからないと思って、全然話してくれないんれすから」
視界がクラクラしてきた。舌は回らないのに、目が回る。
「……きっとね、拓海さんに私は相応しくないんれす、はい……」
白鳥は、実花子なら拓海を変えられると言っていたが、それは期待過多。結局、拓海は実花子をそこまで重要視していないのだ。
「だからね、」
「飲み過ぎだ、実花子」
拓海の声が聞こえてくるとは、相当酔っ払ったみたいだ。
幻聴を聞いたら、拓海に会いたくなってきた。
そんな気持ちに関係なく瞼はどんどん重くなる。
「ほら、帰るよ」
拓海の幻聴がやけに心地いい。体がふわりと浮いたのを感じながら、実花子は睡魔に連れ去られた。