一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

◇◇◇◇◇

どこからか聞こえる賑やかな声。どっと巻き起こる笑い声に、だんだんと意識が戻りはじめる。この声は祐介だ。遠征から帰ってきたのだろうか。
でも、どうして祐介の声が聞こえるところにいるのだろうかと、不思議な感覚に包まれる。一休で白鳥と一緒に飲んでいたはずだ。

……この声は、拓海さん? 嘘。どうして拓海さんの声が聞こえるの?

そこで実花子は一気に覚醒した。
目を開けると、そこは実花子の部屋だった。ガバッと起き上がると同時に、こめかみに痛みが走る。おまけに、気分まで悪い。

いつの間に帰ってきたのだろう。ここまでの記憶がない。
意識を飛ばすほど飲むなんてどうかしている。

そろりそろりと忍び足で部屋のドアを静かに開け、リビングをこっそり窺った。
そこには祐介と、なぜか拓海の姿がある。

どうして彼がここに……?


「あ、ねえちゃん」


隙間から覗き見していたのに、祐介とバッチリ目が合った。拓海が実花子に振り返り、今度は拓海と視線が交わる。今さら隠れるわけにもいかず、実花子は潔くドアを開けた。
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