一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「うっかりしていたのか、削除済みフォルダまで気が回らなかったようだ。問い詰めたら、泣く泣く話してくれたよ」
ここへは彼女から聞いてきたらしい。
でも、どうしてこんな真似を? 大里に脅されたのだろうか。実花子の存在を知った大里が、真里亜に接触したのだろうか。
「多分、彼女は実花子ちゃんに一方的に敵対心のようなものを持っていたんだろう。拓海くんへの愛情が仇となってね。それが、今回の訴訟トラブルをきっかけに噴出したんじゃないかな。M&A解消を取り止めるのに、いい考えがあると大里に近づいたそうだ」
白鳥が残念そうに呟く。
まさか真里亜が仕組んだとは。思わぬところにいた黒幕を信じられなかった。
大里が持っていたトレンダーズクリエイトの名刺は、真里亜が作ったものかもしれない。
「今回の一件は、大里の会社の粉飾決算を見抜けなかった僕に大きな責任がある。前回の事件に引き続き、本当に申し訳ない思いでいっぱいだ。実花子ちゃん、本当に悪かった」
深く腰を折る白鳥に、慌てて顔を上げてもらう。