一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


「はい、祐介にはオレンジジュースね」
「えー、俺にもコーヒーくれよ」
「ダメ。子どもがこんな時間にコーヒーなんて体に毒でしょ」


ちょっとした制裁をふたりへ加えつつ、実花子もコーヒーに口をつける。

――本当に苦い。
自分で淹れておきながら実花子まで顔をしかめる。

祐介はそのジュースを持って自室へ籠った。


「でも、あの菊池さんがねぇ……」
「そんなことまで知ってるの?」


千沙は「当然でしょう」と微笑んだ。


「それで、彼女はどうなったの?」
「警察に……」
「そっか」


起業してから長年一緒に仕事をしてきた真里亜を警察に引き渡すのは、拓海も多分とてもつらかっただろう。彼女も、ほんの一時の気の迷いだったろうから。


「でも、その犯人も随分と思い切ったことをしたよね。実花子ちゃんを人質にして、椎名社長を脅すなんて。うまくいきっこないのに」
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