一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


素直にうなずく。それがどうしたというのだろう。


「なんだか心配」
「なにが?」
「だって椎名さんの周りで、立て続けに警察絡みの事件が起きてるんだよ? 今回は実花子ちゃんだって危険な目に遭ったんだし」


話の流れが悪い方向へ向かっている気がする。いつもは察しの悪い実花子でも、千沙がなにを言いたいのかわかってしまった。


「別れない」
「どうして?」
「このとおり私は無事だったんだし」


外国人ばりのリアクションで、両手を広げてみせる。


「怪我したじゃない」


テーブルの下を覗き込み、千沙が鋭く指摘を続ける。

慌てて足を隠そうとしたが、隠す場所があるはずもない。このところの陽気のせいもあって、すっかりスカートを気に入った実花子のミスだ。バンドエイドを数枚ペタペタ貼ってあるのを千沙に見られてしまった。
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