一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
えっと、それからなんだろう。
実花子の頭は普段から回転速度が速いほうではないが、鈍くなりつつ懸命に働かせる。
――あ、そうだ。
「宿題……宿題はちゃんとやった?」
「はぁ? んなもんないよ」
やっと見つけた確認事項は、とうに古い情報だったらしい。
堅いフローリングの上だというのに、水に漂う葉っぱの如くゆらゆらと揺られているような気がしてならない。実花子はそう錯覚する原因を自分でもよくわかっていた。
そのまま目を閉じていると、片方だけ脱げずに残ったパンプスを脱がされる気配がし、続けざまに両腕を引っ張られる。そしてズルズルズルと、ひと肌を微塵も感じられない冷たい床の上を引きずられていく。まるで市場に水揚げされたマグロのようだ。
お願いだからもっと優しく運んでと思うものの、口を開くのは面倒なうえ、そんな口応えができる状況でもない。運んでもらえるだけありがたいと思うしかなかった。
ある場所までくると両腕が解放され、その弾みで叩きたくもないのに床をベチン!と平手打ちする。
――イタッ。