一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「ずっと忙しいみたいですけど、あんまり無理――」
「実花子」
言いかけた実花子の言葉を拓海が遮る。
ところが、自分の目の前にあるカクテルを見つめ、そのまま時間が経過していく。
「どうしたんですか?」
血色のない横顔が心配だ。
ちゃんと寝ているだろうか。ご飯は食べているだろうか。
そんなことを考えながら拓海の言葉を待った。
「別れてほしい」
かすれた小さな声だった。
「はい?」
「別れよう」
「……あの、……え?」
全然わからない。言っている意味が理解できない。
拓海は実花子を見ると、なんの感情もないような表情でもう一度「別れよう」と囁いた。