一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

一応は用意したのだと、日本酒の瓶を掲げてみせた。それは、実花子が好んで飲んでいる銘柄だった。とてもありがたい。


「そっちがいい」


遠慮なく日本酒を選ばせてもらった。
千沙は白ワイン。ふたりでグラスを合わせて、早速フォークを持つ。温められたチーズが、ちょうどいい感じにフツフツとしていた。


「このパン、とってもおいしいっていうから買ってみたの」


軽くトーストされたパンを千沙が指差す。


「石窯バタールっていうんだって。小麦粉にこだわってるって」
「それじゃ、それからいこうかな」


フォークを刺すと、サクっと小気味いい音がした。チーズに軽くくぐらせ、はふはふ言いながら口へ持っていく。じっくり味わいながら、おすすめ具合を確認する。


「うん、おいしい」


噛みしめるほどに味わい深く、パリッとした皮とチーズのとろっと加減の相性は抜群だ。
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