一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


「ごめん、実花子ちゃん……」


どうして千沙が謝るのか。


「私、ホッとしちゃった」
「……え?」
「実花子ちゃんが椎名社長と別れたって聞いて、よかったって思った」


慰めの言葉をもらえるだろうと思っていただけに、今度は実花子が驚く番だった。


「前にも言ったけど、このまま椎名社長と付き合っていたら、また危険な目に遭うかもしれないじゃない。私、それは嫌なの。だからごめん。ホッとしちゃった。ひどい友達だよね」
「ううん、そんな……」


それもまた実花子を思うがゆえ。また身の危険にさらされる可能性は多分ないと思うが、立て続けに拓海の周りで事件が起これば友達として心配して当然。実花子が逆の立場でも、そうだったろう。


「心配かけてごめんね、千沙。ありがと」


正直な言葉だった。

実花子の言葉を聞き、曇っていた千沙の顔が晴れ渡っていく。
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