一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
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祐介の言っていたとおり晴れ渡った空は、夕刻を迎えてもまだ明るさを保っていた。おかげで会社を出ると、真夏のムワっとした空気が実花子にまとわりつく。
それでも、そんなことは気にならないくらいに気分は上々。たかだか弟と遊園地というだけなのに不思議だ。
久しぶりにそんな気分だったからか、千沙にまで『なにかいいことあった?』と聞かれた。
『今日は年下くんとデートなの』と言った実花子に、千沙はうれしそうな顔をしたが、弟だと告白すると笑顔のまま凍りついた。
『実花子ちゃんにふさわしいイイ男を紹介するから待っててね』
頼もしい言葉に見送られて遊園地に着いたが、待ち合わせ場所の入り口に祐介の姿はまだない。
午後六時半。これから入園するのは、ほとんどがカップルのように見える。仲良く肩を寄せ合い、うれしそうな様子でエントランスをくぐっていく。
ちょっと場違いかもしれない。さすがに中学生と社会人のふたり連れでは、恋人には見えないだろう。
そういえば、はっきりとした時刻を打ち合わせていなかったと思い出す。
仕事が終わったら直行とだけで、祐介は何時のつもりだっただろう。